チーム適合への道(その2)

73 Tage nach dem Boateng-Foul: Ballack am Ball - Sport - Bayer Leverkusen - Fussball Bundesliga - Bild.de

公園デビューならぬベンチデビューを果たしたばかりのバラックですが、なんと今日にはお外で遊べる…じゃないや、ボール使って外でのトレーニングを開始したそうです。FAカップファイナルから73日目。07/08シーズンの先が見えない苦しみがあっただけに、間違いなく回復してるのが分かるだけで、ファンとしては嬉しいです。

8月11日の代表親善試合のデンマーク戦については、早すぎるとハインケスがコメント。これで開幕戦だけを見据えてトレーニングを続けられます。よしよし。



チーム適合への道

Joergensen nach 2:0 verletzt ins Krankenhaus : BALLACK sieht Bayer siegen - Sport - Bayer Leverkusen - Fussball Bundesliga - Bild.de

昨日行われたレバークーゼンとSCRアルタッハ(オーストリアブンデス2部)とのテストマッチで、バラックが"Bank-Debuet"(「ベンチデビュー」)を果たしたとBildが伝えてます。この「ベンチデビュー」ということばに、「公園デビュー」ということばを想起させられました。
「ベンチデビュー」とはいっても、プレーどころかボールも蹴れない状態なので、プレーヤーとしてのデビューはまだ少し先になりそう。でも試合に出るにしても、まずはチームの一員になっておかないと、パスも何もありませんもんね。ただこれまでの移籍のように、自分から存在アピールしてチームメイトに自分を認めさせるってやり方は、レバークーゼンではやりすぎになっちゃう可能性あるし、そうなると頑張りすぎてもいけないような気もするし…なかなかバランスが難しそう。ま、身体十分に使えないんだから、頭働かせて、ね。
バラックが目指すのは、リーグ開幕戦に間に合わすこと…まだそれにはしばらく時間がありますので、まずはピッチ外でチームにうまく適合してってもらいたいなと思います。

ラファに聞いてみよう(その2)

European Football Weekends

ラファエル・ホーニッヒシュタインネタの2つめは、先週末にWeb上に掲載された彼「へ」のインタビュー記事。彼がインタビューした記事ならいっぱりあるけれど、彼へのインタビューなんてのは珍しい。
このインタビューを行ったのは、「ヨーロピアン・フットボール・ウィークエンド(European Football Weekend=EFW)」というブログの管理人Danny。こちらのブログは今回のインタビューがきっかけで知ったのですけれど、自分のクラブ(イングランドのLewes FC…7部くらい?)を応援してたんじゃ永久にヨーロッパの舞台に出られない!ということに気づき、ヨーロッパサッカー現地観戦を行ってはそのレポートを掲載されています。スタジアム紹介やブンデス記事も多く、極東から現地観戦を行っているブンデス派人間にとっても、いろんな意味でとっても参考になりそうです。

が、もちろんここでの注目はホーニッヒシュタイン「へ」のインタビュー。南アフリカ現地の様子、今大会におけるドイツ代表とイングランド代表、イングランドサッカーの抱える問題点とブンデスリーガ、そして彼ならではの「ドイツとイングランドのサッカーの違い」について、彼のおなじみのドライなユーモアを交えて話してくれています。

面白かったのは、今大会での新たな気づきとして次のことをあげていること。
「荒れたピッチとクレイジーなボール、そして高度が、マズいチームをさらにマズいことにしたこと。数字のみで表された戦術的なフォーメーションに意味がないこと、日本がちょっとはやれること。そしてイングランドはカペッロになってもやっぱりイングランドだったということ」
お、ホーニッヒシュタインの口から日本の話が出るなんて…。ホーニッヒシュタインとは少しズレますが、彼もレギュラー出演しているPodcast”Football Weekly"でも、日本のことは話題になってました(日本人の「ゼノフォビア=外国人恐怖症」について言及されてるのは興味深かった)。まぁ、彼のいうこの「ちょっと"a bit"」ってのは本当に"a bit"なんでしょうけれど、でも、それでも目に留まったということ、つまり語るに値したというのは嬉しいことです。イングランドはやっぱりイングランドってのは彼らしい言い回し。イングランドについてもさらに言及しています。ランパードのゴールが認められてたら、イングランドは優勝してた…と思うかと聞かれ
「いや。同意できるのは、イングランドはそれで流れをつかんだろうし、あのゲームは異なった結果になりえたかもしれないということですよ。イングランドがおかしくなことになったのはブルームフォンテーンではなく、グループステージでです。あの3試合ので、どんなかたちでもいいからゴールひとつ決められていれば、どうにかこうにか少なくともセミファイナルまではいってたでしょう、ガーナとウルグアイを倒して。そのことは本当に信じてますよ。けれどおそらく、長い目で見ればイングランドサッカーにとっては、もう一度1990年みたいな負け喫するよりは、こうやって負けといた方がよかったんだと思いますけどね」
ホーニッヒシュタイン節ですね。ただこの中身には前面的に同意。イングランドについては何より、フットボールをめぐるクラブと代表、メディアとそれ以外の対立構造こそが問題であると話しています。ドイツのメディアが代表をサポートしてるって話は、WM中に鈴木良平さんもよくおっしゃってましたよね。クラブと代表との対立…はドイツでも問題にはなってますけれど、それでもやっぱりそこには「妥協」がある。イングランドにはこの「妥協」が欠けているのだということです。この他にも、イングランドの監督、そしてイングランドにおけるクラブ「買収」という最悪の文化についてなど、ドイツ人ならではの視点で、イングランドサッカーを評価しています。

けどもちろんその目はドイツにも…。Dannyの周囲には最近自国のプレミアじゃなく、ドイツに行ってブンデスリーガを見ようというファンが増えてるということに対して…
もちろん。ブラートヴルスト(焼きソーセージ)にビール、立見席はあるし、チケット代は安い…気に入らないところなんてないでしょう?間違いなくあそこは非常に優れた「2部」リーグですよ。
と、言い切れるところは、イングランド在住ならではでしょうね。ドイツじゃプレミアを「世界最高」とは書いても、ブンデスのことを「2部」とは書けませんから…。でもブンデスは、観戦する側からすれば、世界最高のリーグなんですよね!ビールは飲めるし立ち見も席もある。ソーセージの美味しさはプレミアとは段違い!これはわたしも体験したブンデスの素晴らしさであり、それが世界最高の観客動員に繋がっているわけです。

ふたつの国、ふたつの文化、ふたつのリーグとふたつの代表…この間でうまくバランスをとりながら、両者を冷静かつ時にシニカルな目で描き出してくれる、それでも最後はやっぱりドイツ代表サポ!と明言するホーニッヒシュタイン。今シーズンはわたしの立ち位置がややドイツに偏る恐れがあるのでなおさら、彼の冷静なドイツ、ブンデスリーガ評で、萌え…じゃないや、熱くなり過ぎないようにしたいと思います。

人は彼を希望と呼ぶ


11 FREUNDE - Bundesligen - Joachim Loew im Wandel der Zeit - Nie wieder Stirnschranke

11FREUNDEが、レーヴ監督延長記念!として、今大会でレーヴ監督を知ったという世界中のアナタのためにと、フォトギャラリーやってくれてます。すべての監督見習いと流行遅れの人間と、そして訛った人間の希望ヨアヒム・レーヴ!…わたしやっぱり11FREUNDEが大好きだわ。

ラファに聞いてみよう(その1)

レーヴ監督の契約延長が決まったそうですね。ユーロで優勝できるチームを作ってくれることを願ってます。
ここからの内容は契約延長決まる前にエントリしようと思ってたものなので、ちょっと内容ズレちゃうんですが、ご容赦を。

"Everybody says Arsenal has a great team of youngsters that will be brilliant in years to come," former Germany goalkeeper Jens Lehmann told me in 2007. "But I've been in football long enough to know that it's not as simple as that. I've heard people talk about other teams in these terms before, and it never quite happened there, for a variety of reasons."

「誰もが、アーセナルは若いスターがそろった素晴らしいチームで、数年後には輝かしい未来が待っている、と言う」と、かつてのドイツ代表GKイェンス・レーマンが2007年に私に語ってくれている。「けれど、俺もずいぶん長くサッカーをやってて、それがそんなに簡単なことじゃないってことは知っている。これまでにも別のチームが似たような言葉で語られてきた。が、一度だって完全にそうなったためしはない、様々な理由によってだ」

Read more: http://sportsillustrated.cnn.com/2010/writers/raphael_honigstein/07/16/germany-low/index.html?eref=twitter_feed#ixzz0u9GwbpCf

わたしの中で英語メディアにおけるドイツサッカージャーナリストといえばラファエル・ホーニッヒシュタイン(Raphael Honigstein)。イングランドから母国のサッカーを見つめ、それをイングランドから英語で世界に発信する。外の世界から自国を見つめているためか、彼のドイツサッカーに対する目はとても(いい意味で)批判的で冷静。また、基本的に外国人向けに書いているということで、「ドイツから伝わってくる」ドイツ語のメディアの論調に引きずられて気分が上下するような時に、彼の記事を読むとはっとするしほっともします。
そんな彼の記事で面白いものが2つ。まずは1つめをここでエントリ。
"Sports Illustrated"のWeb版に7/14に掲載されている"Despite strong World Cup showing, Germany still facing To Do list"という記事。ワールドカップでの飛躍ということが大きく取り上げられるドイツが、そのすぐ背後に抱えている解決すべき問題点について書いています。 取り上げられてる問題は大きくは3つ。

 1)レーヴ監督の去就問題:契約延長のために解決せねばならない問題(ビアホフを残すか残さないか、ザマーとのU21をめぐる権力闘争など)はいくつかあり、それは解決しえるものであろうが、何せ時間がない。そして、冬の交渉決裂の際、交渉内容をタブロイドにリークされたことを、レーヴは完全には許していない。

 2)キャプテン問題:時に高圧的な態度をとるバラックがいなかった今大会のチームで、選手たちが極めて満足している様子が伺える。(契約延長したとして)レーヴにはチームのパフォーマンス面、心理面を考慮した難しい判断が求められる。この問題解決方法としてホーニッヒシュタインがあげている、バラックには代表に戻るためにアームバンドをペイさせるが、ラームではなくシュヴァインシュタイガーに渡させるというのにはわたしも賛成。ただいずれにせよバラックとレーヴの関係もよいとは言えず、レーヴは争いごとが大嫌い。

3)アドラー、ロルフェス、ヴェスターマンらの復帰による問題:今大会で若い選手が自信を持ってのびのびと力を発揮できたことの背景には、自分たちのスタメンの地位が脅かされないという状況が与えられていたからでもある。今回怪我で呼ばれなかったメンバーが戻ってきて、そこで自分たちの元の地位を要求すれば、若い選手たちにとっての脅威となるし今と同じようなプレーはできなくなる可能性がある。

どんなチームも直線的に成長を遂げるのではなく、成功にいたるためには紆余曲折が必要。この後すぐに直面すべきこれらの問題と、どのように取り組んでいくのか。冒頭で引用したレーマンのことばにあるとおり、サッカーってそんなに簡単じゃないんだよってこと…サッカーファンならみんな知ってるはずなのに、つい調子に乗ってると忘れちゃいがち…。それを思い出させてくれる、ホーニッヒシュタインの記事でした。これを常に頭において、ユーロへ向かう代表をさらに追いかけていきたいと思います。