トレッシュがWM欠場決定


"Damit sind wir genug gestraft"
これで処罰ならもう十分でしょう (ハンジ・フリック)
ドイツ代表は招集に間に合わなかったロルフェスを含めると、アドラー、バラックにつづき、これで4人目の離脱者です。ロルフェス、バラック、トレッシュはそれぞれ中盤の底を務めるプレーヤー。そもそもバラック&ロルフェスのダブルボランチを予定していたドイツ代表、残されたメンバーではシュヴァインシュタイガーとケディラがファーストチョイスとなるのですが、そのあとのバックアッパーがまったくいない状態。追加招集が認められるのは6月1日ということで、月末のハンガリー戦はいったいどうなるのか。そもそもその追加も誰呼ぶの?ゲントナーかヒッツスルペルガー?あるいはフリンクスに土下座?

バラックが代表キャンプを離脱

Ballack reist aus Sizilien ab

「ここにお前たちと一緒にいることは、俺には当然のことだった。俺の怪我のことはすぐ忘れて、前を向け。このチームは強い、誰が選ばれよう が、誰がプレーしようがだ。お前らなら絶対に、いいWMにできるし、成功を収めることもできる」
このスピーチを残して、バラックはシチリアを後にパルマ・デ・マヨルカへと向かったそうです。
こちらでは今週日曜日の"Wetten,dass...?"特番に出演予定。その後、ロンドンへ。


バラックインタビュー:ドイツは自分だけじゃない

本日21日、ギプスに代表27人の早く良くなってね!のサインを貰ったバラックは、シチリアキャンプを離脱、マヨルカへと向かいました。代表は次のキャンプ地、南チロルへと向かいます。これで代表とバラックはひとまずサヨナラ。出られないバラックお大事に。いろんな意味で無理しないでね。出られる選手たちは、ここに自分たちを連れてきてくれた選手に恥じないよう戦ってね。これ以上の怪我人はもうごめんよ。

kickerもバラックに独占インタビューを果たしたようです。昨日のSIDのものと内容かぶっているところもあるけれど、こっちの方がかなり突っ込んだ質問をしています。

Es gibt nicht nur mich - Nationalelf - kicker online

kicker(以下k):ARDとZDFではあなたの怪我を受けての特番が組まれました。サッカー王国ドイツの可能性は、あなたの離脱でなくなってしまったのでしょうか、バラック選手?

バラック(以下B):いやそうじゃない。選手がひとり怪我で抜けたからって、そんなに暗くなっちゃいけないし、なる必要もない。ドイツは僕だけじゃない。代表はこれまでも僕抜きでいい試合をしてきているし、そこを目指していくべきだ。選手たちはいいワールドカップを送れる、そのことは確信している。

k:シュヴァインシュタイガーはあなたに代わる中盤のリーダーとなれるでしょうか?

B:もちろんこれは選手とチームにとって新しい状況だし、僕の離脱のことは今すぐに処理してしまわないといけない。いずれにせよバスティアンは中盤の真ん中という新しいポジションを得たことで、このワールドカップでは大きな役割を担うことになるだろう。バイヤンではすばらしいシーズンを送ってきたし、より多くの注目が集まるだろう。彼には責任を果たせるだけのもう十分な安定感があると思っているよ

k:ワールドカップを掲げる最後のチャンスを逃してしまったという実感はもうありますか?

B:まだそうはっきりはしてないな。これまでワールドカップにすべてをあわせて集中してきていたんだ。だからもちろん今の落胆はものすごく大きい。これから数週間はキツいだろうし、苦痛だろうとも思う、特にワールドカップが始まれば。けれど、こんなに辛くとも、自分にはまだこの先があるんだ。ここから力を得ていくんだよ。

k:どういうことでしょうか?

B:この数日、友人やファンから多くのお見舞いを貰ったことが、この辛い時間の救いになっている。7、8週間すればまた元通りになって、プレーができる。これが自分の目標だ。これまでだってサッカー選手としてこうやってきたのさ。何もかもを手に入れることはできないし、起こったことは受け入れるしかないんだ。

k:シチリアでは誰が誰の救いになってるんでしょう。あなたが代表の?それとも逆ですか?

B:もちろんここにいることが自分にとっての救いになってる。けれど、自分は同情してほしいんじゃなく、前向きなシグナルを出していたいんだ。

k:どういう風にでしょう?

B:自分がここにいることで、選手たちに目標を見失ってはだめだってことを伝えたいんだ。これまで何年も代表でプレーをしてきたから、こうした準備期間が持つ意味は分かっている。自分の離脱は打撃ではある、けれど、ここから先があるんだ。サッカーってのはそういうものさ。何かがおこる、だからそれを克服してかなきゃならない。目線はずっと先を見据えておかなければならないんだ。

k:そしてチームメイトがトレーニングに出て行った時は・・・

B:・・・辛くなる、自分の背後で部屋の扉が閉まってしまえば。ここに家族が一緒にいて、気分転換ができることがあることを喜んでるよ。

k:別の治療方法によって、ワールドカップ出場の望みを繋ぐチャンスはなかったのですか?

B:まずそれを期待したけれど、ドクには先を取られてしまった。決定と治療には別の答えはない。三角靭帯が断裂して靭帯結合が部分断裂していれば、ノーチャンスさ。

k:ケヴィン=プリンス・ボアテンクがファールをするつもりはなかったといっているのを信じますか?

B:その件に関する憤りは大きいけれど、今さら蒸し返しても、どうしようもない。あの場面は僕が意見を述べるべきものじゃない。

k:彼は・・・主張してる通り、土曜日にあなたに謝罪をしましたか?

B:いや、それは絶対にない。

K:彼の父親は、あなたとの間に解決してない古い貸しがあって、それであなたにタックルしたのだと言っています。

B:それに関してはまったく理解できない、あの行動にそんな背景があるなんて考えて、それを間接的にどこか意識的に相手を傷つけようなんていう行動と結びつけようなんて。あの選手とはこれまでまったく関係がないし、彼の頭を何が過ぎったかなんてことも、父親がそれで何がしたいのかってことも分からない。

k:ジェローム・ボアテンクは兄のファールのことで悩んでますか?

B:そうでないことを願うよ。はっきりと言っておきたいのは、このことは彼とは全く関係がないし、あちこちでいつまでも言われ続けるべきことでもない。ジェロームは必要な選手だ。彼は代表の重要な構成要素だし、あらゆるサポートを得るべき選手だ。

k:ご自身のキャリアに対する不安はありませんか?

B:ないね。これはミュラー=ヴォルファートが保証してくれた。彼には30年の専門家としての景観があって、彼が分かっていることに間違いはない。この怪我は完全に治るし、来シーズンにはまたプレーできるようになる。

k:今後も代表でプレーするかどうかをあいまいにされているのはどうしてでしょう?

B:そうした決定をするにはまだ早すぎるからさ。ワールドカップの後、いずれにせよ自分の状況を考えて、もう一度評価しなおしたい。今もそうだけれども。

k:代表続行はどうしたところにかかっているのでしょうか?

B:考えるための時間が少し必要なんだ。7、8週間も何もできなければ、またムズムズしてくるだろうし、そうしたらまた大きな目標を持つことになる。けれど今はまず回復しなきゃならないし、6、7週間後にはトレーニングにも参加したい。

k::チェルシーでですか?

B:今のところはそのつもりだ。

k:契約はまもなく切れますが、何がそうあなたに自信を持たせているのでしょうか?

B:ここ数日、チェルシーからたくさんの励ましを受けた、電話でもだ。そこでこの怪我が契約交渉に影響することはまったくないという保証も得ている。彼らは僕のことを知っているし、分かってくれているし、それは僕も同じだ。

k:特にアンチェロッティのことをおっしゃっているのですか?

B:実際ずっとプレーをしてきたし監督からの大きな信頼を感じている。だから自分はこれからもチェルシーでプレーしていくことになるということを、前提にしているんだ。

k:そうならなかった時は?

B:それについての憶測はしたくない。延長するということを前提にしているんだ。

k:シャルケも選択肢のひとつでしょうか?

B:その質問にはさっき答えたよ。

k:怪我の背後では、ダブルを達成しました。今シーズンがチェルシーでの4年の中で最高でしたでしょうか、それとも単に収穫が多かったというだけでしょうか?

B:サッカーの面では非常にすばらしいシーズンだった。それにイングランドで外国人として、またチームの重要な要素として、ダブルを達成できたということはそれだけでも特別なことさ。

k:インテルを相手にCLベスト16で敗退したことの慰めになりましたか?

B:あれはまあ自分たちの出来が悪い、いや良くない日であったのであって、それでCLから敗退したんだ。けれどそのことで、チームにはCLで優勝できるだけの力がないということにはならない。チームの構成はしっかりとしているし、フィジカル面でも高いレベルにある。チェルシーはだから来シーズンもCLの優勝候補のひとつさ。

ボアテンクの父親の話が出てますが、これはまだバラックがブンデスにいてボアテンクがヘルタにいた時のいざこざが今回の件の背後にあったというもの。BildかSportbildのどっちかに掲載された話。ジェロームは父親に電話してその件について問いただしたけど、自分の言ったこと曲解されてる、そんなこと言ってないと父親は否定してたそうです。ジェロームは兄にも「バラックに個人的に謝った方がいいよ」とメールしたそうな。ジェロームは今回のことであれこれ家族や生まれ育ちのことをネタにされていることもあり、本当に心労多いだろうなぁ・・・本当に兄のばかたれ。エッシェン、南アフリカに行ったら一発殴っていいよ。

"Wetten, dass..?"夏のマヨルカ特番にバラック生出演

Wetten, dass..? - ZDF.de
バラックは土曜日までシチリアの代表キャンプに参加。契約のこともあるしいったんロンドンに戻るのかな・・・と思っていたら、マヨルカにとぶそうです。じゃあそこで少しゆっくりウアラウプ?とでも思いきや、なんとZDFの名物番組、"Wetten,dass...?"の生特番に出演するんだそうです。ZDFもよくこのタイミングで声かけたし、バラック側もよくOKしたなぁと思ったりもするのですが、まぁ何かしら動いてたいんでしょうねぇ(怪我前から出演決まってたのかもしれませんが)。

放送は、現地5/23(日)20:15〜ZDF。うまくするとライブストリーミングされるかもしれませんし、Mediathekにもなんらかの映像はアップされるのではないかと思います。

バラックインタビュー:同情はいらない

DFB公式その他あちこちに掲載されている、ドイツのスポーツ通信社SIDによるインタビュー。5/18(火)の午前中にシチリアで行われたもののはずです。

SID:「バラック選手、3度目のWM出場というあなたの夢は、足首の重傷によって潰えました。その後、月曜日に代表キャンプ地であるシチリアへと来られました。今のお気持ちはいかがですか?」

MB:「怪我なんていいことはひとつもないけれど、特にこの時期には最悪だ。前を向くようにしているよ。この2日間、多くの友人とファンからお見舞いをもらったんだ。これがここから数週間分の気力をくれているよ。WMが始まったら、また間違いなく辛くなるんだろうけれども」

SID: 「この怪我でキャリアが終わるかもしれないという不安はありませんか?」

MB:「いや。ラッキーなことにさほど酷い怪我ではないんだ。内靭帯の断裂と靭帯結合の部分断裂といったものではあるけれど、いちばん安心して任せられる場所にいる。8週間後には元通りになって、完全にプレーができるようになるさ、ハンス=ミュラー・ヴォルファートが保証してくれた通りに。彼ははっきりと、まだ先へ進める、このままなんてことはないって言ってくれたんだ」

SID: 「ミュンヘンでの治療中には、もしかしたらまだグループステージ後にはWMに参加できるんではないかという希望をお持ちだったのでしょうか」

MB:「治療をしても可能性はまったくないと、ドクはまず僕にはっきりとさせた。今この瞬間は、自分がチームにいることが重要だ。同情してほしいんじゃあない、前向きなシグナルを出したいのさ。これが僕の力になる。回復の具合によっては、南アフリカにチームをたずねることも考えている。いちばんの優先事項は、完治させること、できる限り早くプレーできる状態になることだ」

SID:「あなたのWM欠場に対するチームへの影響はどのようなものでしょう」」

MB:「もちろん、キャプテンの欠場はどんなチームにとってもいいことじゃない。けれど、選手たちはできるだけ早く前を向かなきゃならない。彼らには目的を見失ってほしくないってことを伝えたい。それに僕はチームがいいWMを戦えるって楽観的に見ているよ。シチリアにいることで、チームにはまだキャプテンが一緒にいるって雰囲気を与えたいのさ」

SID:「FAカップ決勝でのケヴィン・ボアテンクのファールで怪我をすることになりました。彼自身が強調している通り、ピッチ上での謝罪はあったのでしょうか」

MB:「いいや、それはなかった(オカジ注:いや、確かにそれらしいそぶりはあった。しかし相手に伝わってなければ、それは謝罪ではない)。もちろん腹立たしいしとてつもなく落胆もしている。彼の父親の発言はまったく理解できない。報復願望なんてフットボールには存在しない。ここにきてケヴィンの異母弟のジェロームとも話した。彼と彼は関係がない。彼にこの出来事の責任を負わせてはだめだ。彼はいい選手だし、ここでいいパフォーマンスを見せてくれることを期待している」

SID:「WMではバスティアン・シュヴァインシュタイガーが中盤のリーダー役になると思われますか」

MB:「バスティアン・シュヴァインシュタイガーはWMでは間違いなく重要な役割を与えられることになるだろう。安定感は十分あるので、あとは今以上の責任を引き受けることだ。けれど、何もかもがひとりに任せてはだめだ。チーム全体で、このチャレンジを受けとめなければならない。僕の怪我があったからって、そんなに悲観的になってはいけない。代表はこれまでだって自分抜きでいい試合をやってきてるし、僕がいなくても、すばらしいWMを戦うことができるはずだ。」

SID:「この怪我で、チェルシーとの契約交渉にどんな影響が出てくるでしょうか」

MB:「チェルシーでは、この怪我が契約交渉に与える影響はないと保証してくれている(オカジ注:ここの訳ちょっと自信ない)、もちろん悪いタイミングでのものではあるけれども。これから話し合うことになるよ。自分は、チェルシーでこれからもプレーしていくということを前提にしている」

SID: 「あなたはもうWM優勝を果たせなくなってしまいました。今後のあなたの目標は何になるのでしょう」

MB: 「僕がもうWMに出られないというのなら、それは結局それだけのことさ。タイトルだけを追ってるわけじゃない。これまでにもいくつかの優勝を果たしてきたし、キャリアの中でたいてい1位か2位になってきた。自分にとってのフットボールは、今まで通り大きな楽しみさ。怪我が、EM2012年に向けてもう一度新しい目標を設定することの完全なモチベーションになることもあるだろう。けれど僕はこの夏に、これまでの計画通り、何もかもを落ち着いて考えたいと思っている。」
WMの夢断たれた翌日のインタビューです。バラック。惚れ直すわ。でもムリしないでゆっくり休んで、早く回復して!Gute Besserung, Ballack.