新春浅草歌舞伎昼の部(2017/01/26 千穐楽)

巳之助のくんの又平を見るために浅草へ。2017の初芝居がこれになったこと、三津五郎さんが亡くなった当時、2年前の自分に教えてやりたい。希望は過去にだけじゃない、未来にもあるのだよ、と。

 

「傾城反魂香」 その障害(「どもり」)のために他人から侮られ侮られして生きてきた又平の悔しさ、唯一の希望である絵師として認められることがかなわなかったときの絶望、それらが胸にせまって涙があふれる。いつの時代にもリアルな「人間」を描く近松ってほんとうにすごい。この「吃又」って作品の普遍性を教えてくれた巳之助に感謝。壱太郎のおとくが又平を見る目は、連れ添う夫ではなく、まるで恋人を見ているかのよう。又平のない生など考えられないような一途な思いが切ない。

 

「吉野山」 壱太郎の踊りは安心して見ていられるのがいい。巳之助は役に入りこむタイプの役者だと思うのだが、感情移入のしにくい藤太は型からきちんと作りあげてくる。そうすると三津五郎さんの姿が透けて見える。そしてまた泣けてくる。

コメント

おかえりなさーい!オカジさん!
私もお友達にこれやらあれやらと歌舞伎に誘われていたのですが、1月は日程的に難しい〜とあきらめました。
逝去という形での代替わりは本当に哀しいのですが、昨年見た歌舞伎でも、次の世代の頑張り、残された年長者たちの舞台での締めを感じることがありました。
オカジさん目線のお芝居評や美術館そしてサッカーほかのスポーツの話題を楽しみにしてます!

  • 東風
  • 2017/02/11 12:02

東風さん、お久しぶりです!
サッカー三昧は相変わらず、歌舞伎も1年ほど前から観劇再開しています。今月はもう三津五郎さんの三回忌、来月は歌舞伎座で追善があるので、またそちらに出かけようと思っています。芸もそうだけれど、思いを継ごうとしてくれてる役者たちがいるのが心強いです。今年は観劇メモ的にでもエントリできればと思っていますので、また、見かけたよろしくお願いします(笑)

  • オカジ
  • 2017/02/12 01:22
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