ウルグアイ2-3ドイツ(3位決定戦)&大会総括?

これぞ3位決定戦!というオープンな点の取り合いは、ドイツが再逆転の末ウルグアイを下すことになりました。ファイナルを目前の破れた者同士の対戦は気持ちの持っていき方が難しいといわれますが、この試合に関しては、そうした問題は感じられませんでした。ここまできたらひとつでも上へ!というウルグアイと、ビッグトーナメントの経験が少ないドイツと、出場していたどちらの選手も「ご褒美」のこの試合を戦い抜いてやろうという気持ちが強かったのかもしれません。大会を盛り上げてきた両チームの魅力が存分に発揮された、見ていて楽しい試合。試合後には勝ったドイツだけでなく、負けたウルグアイの選手にも、満足げな笑顔があったのが、さらに清清しい気持ちを与えてくれました。どっちの選手もありがとう、お疲れさま!

この日のドイツは風邪っぴき&怪我人に出場回避をさせたため、これまでとずいぶん異なった顔ぶれに。ワールドカップの通算得点記録がかっていたクローゼが出られなかったことは、本当に残念でした。クローゼがこの記録を塗り替えることはもう出来ないのかもしれませんが、この試合でもゴールを決めたミュラーが通算5得点。若い彼が今後この記録に挑んでくれるんじゃないかと、大いに期待ができる結果です。ベストヤングプレーヤー賞はまず間違いなく彼の手に入るはず。となると、2大会連続で、ドイツからの受賞者となります。今日の決勝の結果次第では、彼は得点王ズのひとりにもなれるかも。本当に恐るべき若者です。
大会のMVPには、シュヴァインシュタイガーとエジルがノミネート。ファイナリストから選出されることになるだろうから、受賞は難しいのでしょうが、実際、シュヴァは今大会で成熟したところを見せてくれた。4年前、この才能キラキラの選手が、その才能を自分でコントロールできるようになればどんなにすばらしいことだろうと思ってましたけれど、4年かかってついに彼に期待していた姿を示してくれることになりました。本当に嬉しいし、よく頑張ったよね。「シュヴァイニ」なんて呼んだらもう失礼だよね。
もうひとりのMVP候補のエジルにも4年前のシュヴァと同じことが言えるのかもしれません。その才能をコントロールできるようになったら…恐ろしいなぁ。経験つんで、コンスタントによいプレーと、そして時折、観衆の度肝を抜くような美しいプレーを見せてくれることに期待したいと思います。

ウルグアイも見ていて楽しチームでした。フォルランの怖さすばらしさ(&格好よさ)はいうに及ばず、この試合中わたしの印象にもっとも残ったのは、ボール を持つたびにブーイングを受けまくっているスアレスが浮かべた心底楽しそうな(「おもしれぇ」って)ニヤりとした笑顔。ガーナ戦のハンドの時から(良い意 味で)注目していた選手なのですが、メンタルが強くてタフで良くも悪くも勝ちにこだわれる選手が大好きなわたしは、ついクラり。来シーズンはCLやEL で、ワールドカップで出会った選手たちと再会するのも、また楽しくなりそうです。

すばらしいサッカーの「内容」で、結果的に今大会もっとも注目されるチームのひとつとなったドイツ代表。若手の台頭でこれまでとは異なるスタイルを見せて非常に「大成功した」…と言われてますが、個人的にはそこには納得しかねます。"11FRUENDE"のライヴティッカーにこんなことばがありました。
Schon wieder ein Finale ohne Titel, schon wieder ein begeisterndes Turnier, von dem die Deutschen mit leeren Händen nach Hause kommen. Herzensweltmeister, das nervt. Wie ein Einkauf bei Kaiser’s, wenn die Kassiererin mechanisch und unausweichlich fragt: »Sammeln Sie Herzen?« Nein. Danke für Nichts. Philipp Lahm sammelt keine Herzen. Schweinsteiger genauso wenig. Egal, ob es eine Tupper-Kollektion oder ein Pfannenset als Prämie gibt.
またもやタイトルと関係のない最終戦、またもや感動的なトーナメントから、ドイツ代表は手ぶらで帰国である。「心(ハート)のワールドチャンピオン("Herzenweltmeister"」には、イラっとくる。まるでカイザース(注:ドイツのスーパー)での買い物だ。レジで、機械的にいやおうなく尋ねられる。「ハートポイントはお集めですか?」。いいえ。余計なお世話です。フィリップ・ラームはハートなんて集めてはいない。シュヴァインシュタイガーだってほとんど集めてないだろう。特典がタッパーセットだろうが、フライパンセットだろうが、どうだっていいのだ。
欲しいのはあのカップ。感動だとか、内容だとかは、カップを得るために戦った結果でついてくるものであって、感動だとか内容そのものを求めているのではないのです。2006年も3位、2010年も3位。どんなにヘボヘボなチームと言われようが、決勝にすすめた2002年の方がずっと優勝に近かった。どんなに面白くないといわれても、1990年のチームは優勝できた。間違っても、美しいサッカーだとか、面白いサッカーを追及しないでね、ドイツサッカー協会。ベスト4以上にコンスタントに進める国にとって、勝者と敗者を分けるのは技術でも戦術でもなく、勝利への欲求じゃあないかと思うのです。もし今夜スペインがついに初優勝を遂げることになるなら、それは美しいサッカーの追及の結果ではなく、苦しい苦しい準決勝で、セットプレーからプジョルが魂こもったヘディングを決められたことによるのではないかと…そしてそういうベタベタで美しくもなんともないけれど、勝ちたいという思いのこもったプレーにこそ人は感動をするし、勝つためのプレーだけが評価されるべき内容なんじゃあないのかな…なんて思ったり。今回のドイツ代表のプレーは本当に見事だったし、みんなとっても上手いなと思った。組織的でチームとしての連動性を感じた。それを否定するつもりは毛頭ないし、もちろんわたしもそれに歓喜した。でも、チームとしての勝利への意思は、ほとんど感じることがありませんでした。発揮せずとも勝てた試合が多かったのかもしれない。けど、やっぱそれではベスト4の壁を越えられないんじゃないのかな。
すぐにユーロの予選。「やっぱり最後にはドイツが勝つ」ってそんな風に思われる、いやらしいくらいに勝負強く、最後まで絶対にあきらめない、そんな代表を期待したいです。シュヴァ、期待してるで!

ドイツ0-1スペイン(準決勝)

ドイツ、スペイン相手にまたもや何もできず、これで大会終了です。
2年前は何もさせてもらえなかったけれど、今回は何もせずに終わったなという印象。悔しくもなんともない。ただただ残念。
もっともっとリスクを冒して攻めてほしかった。けどたまにボール持たせてもらうと、それを失うのが怖いのか、まるで前に運ばない。ポテンシャルの高さと、若さゆえの勢いと運を味方に勝ち上がってきたチームだから、その勢いを自ら殺しちゃったのは残念だし、正直予想外でした。もちろん難敵スペインを相手にそうやすやすと攻められるもんでもなかったのかもしれないけれど、でも、チャレンジしてほしかったと思う。その力はあったと思うし、仮になかったのだとしても、「力が足りない」ってことを実感して終われたと思う。けどなー、こー、なーんもせずに終わっちゃうとなー…残念です。

アルゼンチン0-4ドイツ(準々決勝)

こんなブログを覗いてらっしゃる方はきっと試合はすでに満喫されてると思いますし、いまさらになると思うので、試合レポはやめときます。それにしてもスゴかったです。負けるとは思ってなかったですけれど、ここまでの結果とは…予想だにしませんでした。

この日はドイツサポの友人となぜか参加のスポーツ観戦好きの妹と一緒に、このブログでも何度か紹介している、サッカーを愛するドイツ人マスターの経営するドイツビアレストランで観戦してました。ちなみにわたしは黒ユニ8番(エジ)、友人はユーロユニ14番(トロ)。黒ユニは非常に評判よかったですw 通常の土曜日は「ブンデスがあるから」早い時間に閉店するお店なのですが、この日はせっかくのWM準々決勝ってことで深夜営業。狭い狭い店内は予約客でいっぱい…。開始3分でシュヴァのFKにミュラーがアタマであわせて予想外の先制!「はや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」といきなり大騒ぎ。
そこにさらに予約してない謎のマルチカルチャー集団(ドイツ人、インド人、アメリカ人、ニュージーランド人、日本人…であってるかな?)が現れてもう大変。むりくりベンチで相席したドイツのおじさんに「誰が決めたの?」といわれ"Mueller!!""Schon wieder!?"となんかこっからはすっかりもう何語で話してるのか分からない状態。店内&店の外の仮設テーブルで各国人入り乱れながらもみんなでドイツ応援。ドイツの勝利がほぼ決まってしまえば、ドイツ人のおじさんのが歌い出しにあわせてわたしも思わず一緒に"So ein Tag, so wunderschoen wie heute, so ein Tag der duerft nie vergehen"。あぁこの歌うたえてよかった!試合が終われば店内みんなでハイタッチ!試合後には、マスターから全員にシュナップスを振舞ってもいただきました(キャパ以上の人数がいるため「はい、グラスはさっさと空けて!」と、いうことになり、アルコール苦手な人にはかなりキツかったかも)。

試合後はそのマルチカルチャー軍団やお店で知り合った日本人と一緒に「スペイン対ウルグアイ見に行こうぜー!」ってことになり、アイリッシュパブに移動。そのお店にはドイツ人含むドイツサポに(イェ〜〜〜イ、ドイチュラーーント!!)、アイルランド人(「フランス、やらかしたよねーーー!!」とか)、ペルー人(「ゲレーロ飛行機乗れてる?」)とか、そしてスペイン人(「ま、悪いけどスペインってウルグアイに1-0の国でしょ、当然ドイツが"Five to nil"よ」)など非常にインターナショナルでした(ってか、日本人ほとんどいなかった)。
インド人のお兄さんとは「どうしてアジアやアフリカの国は、あと一歩のところで勝てないんだろう」というシリアスな話にも。日本ではこれまであまり経験したことなかったのですが、よくヨーロッパでは体験する、自分が同じアジアの同胞として話しかけられてるという感覚を得ました。この方からは、第二次世界大戦とインド独立と日本の関係のことも聞いて、非常に興味深かったです。あと外国人のひとたちからはさかんに"facebookやってる?"と聞かれ、そうか、やっぱりfacebookが世界標準なのかもしれないなと認識…。ふだんは日本人社会で日本語だけで生きてるわたしなので、こうして異なる文化的背景を持つひとたちとたくさん交流できた一夜は非常によい経験となりました。フットボールは世界を繋ぎますね。

こうして早朝6時…店を出て始発に近い電車で帰宅。ドイツ代表&フットボールに感謝。充実の1日でした。アルコールもやや過ぎたけど。ぜひあと2試合、素敵な夜を送りたいものです。

ドイツ4-1イングランド(Achtelfinale)

いまさらの話になってしまいますが、ドイツ代表、イングランドに圧勝!!完全に思い通りの試合運びで、レーヴ監督の戦術と、それを体現した選手たちの勝ちだと思いました。ほんと、すごいわ。

1点目はノイヤーのゴールキックを、ディフェンス突破したミロがそのまま押し込んでのゴール!ミロらしい!と嬉しくなると同時に、ノイヤーからの正確ナフィードはドイツの飛び道具だなと再認識。あそこからのリスタートは、常にセットプレーといえばセットプレーなわけですもんね。
2点目は右サイドをクローゼ、エジル、ミュラーと繋いで崩して、最後は王子の左足!これもお見事。今大会、ドイツは徹底的に右サイドからの崩しなのですが、レーヴ監督がラームの右に固執する理由はこれなんでしょうね。
前半途中ですでに2-0。これでイケると思ったのですが、こっからイングランドのさすがの反撃。セットプレーからジェラードの正確なクロスにアップソンが頭で合わせてゴール。ノイヤーが必死でコース切ってたのですが、止められず。ただ、あとで見直すと、ドイツのディフェンス誰も競ってない!弟、ぼーっとつったってるんじゃない!と、後から脳内で彼の後頭部にツッコミ入れました。
そして問題の場面、イングランドが一気に追いつこうと攻める中で、ランパードのループ気味のシュートがドイツゴールのバーに当たって真下へ。イングランドの選手もベンチも入った!と理解したのですが、審判の笛はならず。そしておそらく誰よりもいちばんボールの位置を知ってたであろうノイヤーが、騒ぎになる前にすぐボールを前にフィード。プレーオン。イングランドは抗議する間も与えられませんでした。ノイヤー、よくやった。これがこの試合を決定したといっても過言ではないと思います。もちろんこのボール、ビデオリプレーを見れば、一目瞭然、正真正銘、ゴールラインを割っていました。
けれど審判に認められてないものはゴールではないのです。

見ていて正直恐ろしかったのは、2-0になった段階でイングランドの選手を支配するかと思われたイングランド名物ともいえる「敗退への不安」が、魂こもった反撃の中で入ったはずのゴールを認められなかったことで、「怒り」のパワーに摩り替わるのではということでした。実際、ここから後、前半そして後半の最初は、イングランドペースになったと思います。

けれど、ドイツは後半、攻めざるを得なくなっているイングランドを相手にカウンター大作戦を展開。これが大当たり。ランパードのFKが壁に当たったのをマイボールにして、そこからシュバ、エジル、ミュラーがいきなりトップスピードで相手陣内に駆け込む様は圧巻。3対3の状況でシュバとエジルが相手をひきつけて最後はミュラーのシュート!これが3点目。
4点目はエジル劇場。これも自陣前でのボール奪取を見るやひとり駆け出すエジルがボールを受けてそのまま相手ゴール前へ。ようやくエジルを捕らえたアシュリーの股を抜くラストパスはまたもや、追いかけてきたミュラーの足元へ。これで4点目。これが試合を完全に殺すことになりました。

結果は4-1。決勝トーナメントでの"Klassiker"(伝統の一戦)で4-1の圧勝。正直、ここで負けるとは思っていなかったのですが、それでもこの得点差には驚きです。
ただ、やはりランパードのゴール取り消し、これが試合展開に大きな影響を与えたことは間違いがない。あそこで本当だったら2-2になっていた。2点差を前半のうちに追いつかれたとなった時、ふだん追いつかれるなんて展開を経験していないドイツの選手たちの精神状態はどうなっただろうか、同点なら少なくともドン引き&カウンター作戦はなかったと思うので、後半は異なったゲームになったんじゃないだろうか。もちろんイングランド側が認めているように、イングランドの敗因は誤審ではなく、後半追加点を取れなかったこと、ドイツのカウンターを止められなかったところにあるとしなければならない。でもドイツの勝因には「運」があったということは、忘れちゃいけないと思います。

…なんて手放しで喜べないのは、たぶん、あれがランパードのシュートだったからなんだろうなぁ…。44年前、1966年の「ウェンブリー・ゴール」の借りを返してもらったといえばそれまでの話なのですが、イングランドからだけでなく、ランパードが、勝負の行方とは関係なしに、あのシュートで勝ち得るはずだった何かを奪ってしまったことが残念です。ごめんね、ランさん。

しかし、これでドイツがさらに勢いに乗ったことは間違いない。次はもうひとつの"Klassiker、アルゼンチン戦。個人的にはイングランドではなくアルゼンチンとの方に「伝統の一戦」の実感をもっているので、ますます楽しみです。ま、マラドンには絶対に負けたくないので、ここは日本中のメディアを的にまわしても、空気読めないドイツっぷりを見せてもらいたいところです。Auf geht's, Deutschland!!


ガーナ0-1ドイツ(GS#3)

か…勝った。
いいとこなんてほっとんどなかったけれど、とにかく勝った。でも、これこそがドイツ!わたしが好きになったドイツ!『魅力的なサッカー』?んなもんいりません。勝てばいいのです。勝ちこそがすべて!
エジル、今日は90%はいいところなかったけれど、でもそれでも欲しかったその1点決めてくれた。必要なのはこういう力だと思うのだ。
1点取られるとまずい試合で、アルネが安定して仕事をしてくれたこと、ノイヤーがきっちり仕事してくれたこと、そしてラームが決定的なチャンスを2度も阻止してくれたこと…こういうのも大事だったなと思う。

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ま、続きはあとで。